フルタイムで事務職をしている。
勤め先は良くも悪くも同族企業の昭和な会社だけれども、
今の部署では同僚にも恵まれ、それなりに年齢を重ねたこともあり、
不満はグチで解消できる程度だ。
夫が亡くなった後、半月ほど休んで復職した。
周りは私に「どう声掛けしていいかわからない」と正直に伝えてくれつつ
温かく迎えてくれた。ありがたい。
私も努めて無理ない明るさを保って過ごした。
「やることが次から次へと出てきて、悲しんでいる暇も実感もない」
嘘ではなかったけど、そういって泣き笑いの顔を作って答えた。
それが一番、周りにも自分にもラクな返事だったから。
あれから一年と数か月。
一周忌を過ぎたあたりで事務的な忙しさは一段落し、少し余裕が出てきたのと同時に、
夫がいない日常や現実を改めて実感し、さらに気持ちは落ちていった。
そして今。
私は自分自身を、決して「大丈夫」とは言えない。
眠れないと思ったら過眠気味になったり、すべてにおいてやる気が無かったり、
心から楽しいとは思っていないゲームに没頭して時間を消費している。
けれども、家の外では笑顔で日々すごしている。
作り笑いをするほどじゃないけど。
おかげで、「大丈夫?」と聞かれることも無くなったし、
必要以上に気を遣われることも無くなった。ありがたい。
誰かの為に笑顔で過ごしているわけじゃない。
周りの為に笑顔で過ごしているわけじゃない。
自分を誤魔化すためでもない。
周りに気を遣われる事で、さらに自分が疲れてしまうからだ。
周りの気遣いを受け取るだけの気力精神力が無いからだ。
いっぱいいっぱいなの。
だから、笑って過ごしているの。